ALMEC VPIキーノートPlanning & Management Consultant

ハノイ街路風景に見る格差

 ハノイの中心部である旧市街では、人々の暮らしが狭小な空間で非常に高密に積層している。例えば、ある時間になると歩道がバイクで埋め尽くされ駐車スペースと化す。あるいは、プラスチックの小さな椅子とテーブルが並べられ路上レストランとなる。路上では花やフルーツを売る行商のおばちゃん達が行き交い、傍らでは青物市場が展開し、肉屋が鶏を裁く光景や、囲碁の様なゲームに興じる男性衆も観察できる。公共スペースにはみ出すこれらのプライベートな活動風景は外国人を惹きつけ、この地はハノイ随一の観光スポットとして昼夜を問わず賑わっている。空間を柔軟にシェアする事で生じる旧市街の生活景は活気に溢れ、とても魅力的である。
 そんな旧市街の東側にはホン河が流れており、フィッシャーズビレッジが形成されている。簡易なボート上に木材や紙等でバラックを建て、3畳程の広さに一家族がひしめき合いながら生活している。劣悪な衛生・居住環境、壊れかけたサンダルに当て布をした衣服。まともな職を持たない彼らは、ゴミ拾い等で一日1$程の収入を得て、生計を立てている。
 一方で急速に開発が進んでいる新市街では、まるで新宿のオフィスビルや、豊洲のマンションの様な高層ビル群が並んでいる。マンションの入り口には着飾った受付嬢。オートロックの扉、床から天井までガラス張りの広々としたリビング、コンビニから映画館まで併設した超高級マンション。便利で快適なこの様なマンションに住めるのは、一部の富裕層に限られている。マンションの足元に広がる巨大なオープンスペースは、正午過ぎの熱気が漂う時間ゆえだろうか、人影がなくシンと静まっていた。
 このような急速に進む開発と広がる格差の中で、安全・安心の保証、公平性や快適さの獲得を目指した都市開発が求められる。それと同時に、その都市らしい風景を残していくような都市開発の在り方についても、しっかりと考えてゆきたい。

金子 奈津(海外室)

キーノートのイメージ:ハノイ街路風景
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