2024年6月
車道の「左側」について
自転車は道路交通法上の「軽車両」に区分され、車道の左側を通行することが原則です。
高度成長期の交通戦争と言われる時代の緊急避難的な措置として歩道通行も可となっていましたが、2007年の自転車安全利用五則以降、車道通行原則が徹底されることになり、自転車専用通行帯やナビマークなどの走行環境整備も積極的に進められています。
その車道の「左側」ですが、実際に自転車で走行するとまだまだ問題を抱えていることに気づきます。路側帯付近は排水勾配により様々なものが溜まっている場所でくぎ、ボルト、針金、木片、ごみなど、特に雨あがりなどは多くが流れてくるため、パンクのみならず走行を不安定にさせるリスクがあります。
また、写真はとある場所のグレーチングですが、これでは自転車のタイヤが挟まって重大事故に繋がる危険があります。
自動車との距離感でも危険と感じることがあります。実際に距離を空けずに大型車に追い越される際の恐怖は想像を絶するものです。愛媛県では「思いやり1.5m運動」として、側方を通過する際の安全な間隔を開けるように呼び掛けています。
また、横浜市では思いやりをもって空間を共有するための取り組みとして思いやり SHARE THE ROAD運動をスタートし、動画やイベントを通じて啓発活動を展開しています。
電動キックボードの普及に見られるように、これからは多種多様なモビリティが「車道の左側」を走行することになります。ユーザー目線でハード・ソフトをきめ細かく考えていく必要がありそうです。【2024年6月】


2024年5月
キガリ(ルワンダ)でバス運転士教習マニュアルの作成
JICAで実施している「キガリ都市交通改善プロジェクト(日本工営株式会社と当社の共同企業体)」では、公共交通に関するステークホルダーへの能力強化を実施しています。活動の一環として、バスドライバーへの研修をサポートする為の「バス運転士教習マニュアル」を策定しています。
本マニュアルは、過去のJICAプロジェクトで、神姫バス株式会社の運転士教導者によって作成されたものを基にしつつ、ルワンダの地域特性に合わせて部分的に修正されています。
マニュアル内の写真撮影にあたっては、地元のバス事業者がバスとドライバーを手配していただきました。本マニュアルがドライバーの運転スキル・接客の改善に役立たれることが期待されます。【2024年5月】


動画でわかりやすく!〜コミュニティバス等の利用促進動画の制作〜
みなさんは「ジンバル」をご存じでしょうか? 撮影機材の一つで、ビデオカメラやスマートフォンに取り付ける土台のような装置です。
撮影時の手ぶれを防いだり、スムーズにパン(縦方向や横方向にフレーミングを移動すること)したりと、まるでプロのような動画撮影が可能になります。近年スマートフォンなどを取り付けられる、小型で、しかも高性能のものが増えてきました。
弊社では、近年動画制作のお手伝いをさせていただくお仕事が増えてきており、撮影時には、この「ジンバル」が大活躍しています。先日は港区の委託を受け、コミュニティバス「ちぃばす」の乗車案内や「台場シャトル(お台場レインボーバス)」の乗り場への道を案内する動画を作成致しました。
動画では、音声を用いながら順を追って説明できますので、非常に分かりやすいご案内が可能となります。
今回、弊社では初の試みで、動画のシナリオ作成から、撮影まで一貫してお手伝いさせていただきました。構成をふまえてシーン毎に撮影していく工程は、普段の業務とはまた違った経験となり、私の動画撮影の腕も大分上がったような気がします!
何かを検索するときにブラウザからの検索ではなく、Youtubeなどの動画サイトから調べる人も多い昨今、動画での案内は分かりやすく、目を引きますので、ぜひご活用をご検討ください!【2024年5月】
国内事業本部 小島 桃子
2024年4月
パラオの離島交通を調査しています
2024年2月に「パラオ共和国観光客利便性向上等に資する公共交通システム及び観光モデルルートの検討の情報収集・調査業務」(国土交通省)の一環として、アルメック2名が現地に渡航し、パラオの離島交通の実態に関する情報収集行いました。
パラオでは、ほとんどの住民が本島に居住しています。離島5州の住民にとっては、船便が唯一のライフラインであり、貨物輸送を含めた定期便が運行されていますが、海の状況に影響されやすいため、キャンセルされることも多いです。
現在、船の運航は各州が管理しており、時刻表は州政府に電話で確認するしかないため、観光客にとって非常に不便な状況です。また、現時点パラオでは乗り合いバスが存在せず、荷物量も多いことから、船利用者は、親族または同僚に乗船場まで送迎してもらう必要があります。
パラオは気候変動に直面している島しょ国であり、環境に優しい交通手を導入することで、少しでも地球温暖化対策に貢献でき、またその必要性を訴えていくことが重要と考えます。【2024年4月】


青梅市でのグリーンスローモビリティ実証運行
JR河辺駅の南側に位置する河辺町1~3丁目地区は多摩川沿いにあるため、駅とその周辺にある病院や公共施設とはかなりの高低差があります。平面距離50~60mの間に垂直距離で約20mの落差を有します。買物で駅周辺へ行く方が多く、特に高齢者にとって、この急勾配を往復するはとてもきついです。
かつて新規バス路線の導入検討が行われましたが、狭隘道路のため、安全性や経済性の点から一旦白紙に戻りました。近年になり路線バス以外の交通モードの導入が全国各地で進んできたことから、地域ワークショップによる検討を重ね、新しい交通システムとしてグリーンスローモビリティの実証運行を令和5年10月から11月の2か月間実施するに至りました。
グリーンスローモビリティとは時速20km未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービスです(通称:グリスロ)。同じ乗車定員の一般車と比較して横幅が約8割と狭いため、すれ違いや乗降スペースの確保が難しいところでは導入しやすい車両です。扉がなく、床も低いことから、乗り降りしやすいと高齢者に大好評でした。急勾配でも問題なくスイスイ上るため、運行を継続してほしいという声が多く寄せられました。あまりに好評で、時間帯によっては満車で乗れないことがありました(乗客定員6人)。
実証運行では運賃は無料でしたが、本格運行では有料になることが想定されます。運転操作が比較的シンプルなため私でも安心して運転することができました。運行経費を抑えるために地域の方が運転手になるなどの工夫ができそうです。【2024年4月】
国内事業本部 倉岡 明子


日立駅周辺地区プレイスメイキング社会実験
茨城県日立市の中心市街地、日立駅周辺地区では、イトーヨーカドーの撤退により、商店街の真ん中に空きビルができ、まちの活力低下が大きな問題となっていました。このような中、日立市の施策として空きビル活用が進められ、2023年4月に商業施設「ヒタチエ」が開業しました。
ヒタチエは、ファミリー層をターゲットとして、無印良品やスーパーマーケット、子どもの遊び場施設、健康診断専門の医療施設、フードコート等をテナントとして、複合施設として運営され、まちへの集客が徐々に増えつつあります。
このような中、商店街の店主、近隣の企業、茨城大学、日立市出身の東京で暮らす方が、まちづくりのグループをつくり、ヒタチエを核に、まわりの商店街やオープンスペースへ、賑わいを広げようという活動を始めることとなりました。
この活動の第一歩は、NPO法人日本都市計画家協会のサポートを受け、場づくりを目的とするプレイスメイキングに取り組むことです。当社から当該協会の会員になっている3名がボランティアで参加しています。
令和6年2月23日に、ヒタチエの中と周辺の道路空間を活用し、3つのプログラムを実施しました。
①レゴブロックで、日立のまちをつくる
航空写真の上に、子どもたちがレゴでビルや家などをつくり、まちを立体的につくります。
②お菓子のリュックをつくる
お菓子を4つつなぎ合わせてリュックをつくります。子どもたちの笑顔を見ることができました。
③次世代型車いすWHILL(ウィル)で道路や建物の中を移動体験
簡単に操作ができ利便性が高い WHILL(ウィル)をレンタルし、道路やヒタチエの中を移動してみる体験です。
これらのプログラムは、まちづくりグループのメンバーが、今後のまちの活性化につながるアイデアを出し合い、実現したものです。
当日は、日立駅周辺地区で、どんな暮らしをしたいかというアンケートを実施し、多くの方からご意見をいただきました。
雪・雨の中、プレイスメイキングの社会実験に多くの子どもたち、大人が参加し、楽しんでもらえたことを踏まえて、次年度以降、本格的なまちづくりに進むことになりました。【2024年4月】
国内事業本部 内山 征



2024年3月
ケニア国ナイロビ首都圏公共バス運営改善プロジェクトで本邦研修/③熊本市を訪問
3月5日、JICA「ケニア国ナイロビ首都圏公共バス運営改善プロジェクト」本邦研修の研修メンバーは熊本市を訪問し、交通問題に取り組むための公共交通政策やサービスについての研修を受けました。
熊本市は自動車保有率が高く、渋滞が激しい都市です。高齢化・人口減少が進む中、公共交通をどう維持していくかが課題となっています。対策として、市内のバス会社の共同経営にいち早く踏み切ったことで国内の注目を集めています。
午前中は、熊本市都市建設局様に受入れいただき、公共交通政策、共同経営の概要とそれに付随する施策について講義していただきました。
午後は九州産交ランドマーク株式会社様より、中心市街地に開発された複合商業施設「SAKURA MACHI Kumamoto」を紹介していただきました。この施設は、中心市街地活性化に資する施設として、巧緻に設計された「熊本桜町バスターミナル」、商業施設、その他公共施設などを備えている都市拠点です。 ナイロビやケニアにおける将来的なターミナル開発に関して、この施設は大いに参考になる事例だと思われます。【2024年3月】


ケニア国ナイロビ首都圏公共バス運営改善プロジェクトで本邦研修/②横浜市を視察
3月4日、JICA「ケニア国ナイロビ首都圏公共バス運営改善プロジェクト」本邦研修の研修メンバーは、世界有数の国際都市である横浜市みなとみらい地区を訪問し都市活動を支える交通についての政策・サービスについて学びました。
午前中のセッションでは、横浜市都市整備局による公共交通政策や事例・スキームに関する講義を行っていただきました。
午後には、午前中の講義で紹介いただいた事例について実際に訪問・試乗しに、みなとみらい地区を訪問しました。港町である横浜市の事例は、内陸国であるケニアでは直接適用できないものも多くありますが、研修員にとって、都市交通・公共交通を検討する際のインスピレーションとなることを期待します。【2024年3月】


ケニア国ナイロビ首都圏公共バス運営改善プロジェクトで本邦研修/①江ノ電バスを訪問
ALMECは、JICA「ケニア国ナイロビ首都圏公共バス運営改善プロジェクト」を実施しており、ナイロビの公共バスサービスの改善を支援しています。2月26日から3月8日まで、日本の道路系公共交通を学ぶための本邦研修を実施しました。
2月29日、株式会社江ノ電バスを訪問しました。江ノ電バスはTVアニメ『スラムダンク』のオープニング映像が世界的に有名な江ノ島電鉄株式会社の子会社です。主に藤沢、鎌倉、横浜で237台のバスを運行しています。湘南営業所を訪問し、事業概要、バスの運行管理および維持管理の実践的な見学を行い、研修員にとって重要な知見となりました。
ケニアの特徴的な公共交通としてマタツ(ミニバスやSUV車両によるサービス)が挙げられます。幹線道路上で大型バスと混在することでしばしば交通渋滞に寄与しています。江ノ電バスも大型バスとミニバスの両方を所有していますが、狭い通りを運行するために小型バスを割り当てるなど、明確な戦略を持っており、ケニアの公共交通政策へのヒントになり得ると考えられます。
【2024年3月】


バンコクSmart JAMPプロジェクトの最終発表を行いました
2024年3月1日、タイ国バンコクにおいて、「2023年度Smart JAMP交通分野におけるスマートシティ実現に向けた調査検討業務」(国土交通省)の最終発表会を行いました。
本業務は、日本政府が主導する日ASEAN相互協力による海外スマートシティ支援策(Smart City supported by Japan ASEAN Mutual Partnership: Smart JAMP)の一環として、交通分野における我が国の先進技術やソリューションを活用したスマートシティの具体的な案件を形成することを目的に国土交通省が実施するものであり、当社とニューラルグループ株式会社の共同企業体で取り組んできました。
具体的には、バンコク都及びタイ王国警察の交通警察の協力のもと、バンコク都が道路上に設置している既存のCCTVカメラの映像を活用し、ニューラル社が独自に開発した画像解析AIを用いて、駐車禁止区間に駐車している車両を自動的に検知する技術の検証を行いました。
最終発表では、違反車両の検知・特定の検証結果を共有し、バンコク都や交通警察からは、次のステップとして、取締りへの実装の可能性について議論が交わされました。【2024年3月】

2024年2月
下妻市の官民連携によるまちづくり「さん歩の駅サン・SUNさぬま」
年末年始休暇を利用して、妻の実家に近い茨城県下妻市を訪れました。
下妻市を訪れた際には必ず「さん歩の駅サン・SUNさぬま」へ立ち寄り、砂沼湖を一望できるレストランカフェのテラス席でコーヒーをいただきます。テラス席の正面には砂沼湖が広がり、右手には筑波山をみることができます。素敵な景観です。
「さん歩の駅サン・SUNさぬま」は1階に観光物産販売店、2階にカフェレストランと観光案内所となっており、観光物産販売所とカフェレストランは株式会社坂東太郎が指定管理者として運営しています。交流センターにカフェレストランを併設するアイデアは、市民アンケートの結果によるものだそうです。
訪れた日が年末年始でしたが、砂沼湖の周辺を家族で散歩する人やランニングする人、私と同様にコーヒーを飲みながらぼーっと湖を眺める人が多くいました。休日にはカフェレストランのテラス席でヨガ教室や砂沼湖でサップが行われているそうです。
そんな憩いの場となっている「さん歩の駅サン・SUNさぬま」ですが、近傍の「Waiwaiドームしもつま」と合わせ都市再生整備計画事業の中で整備され、立地適正化計画や地方再生コンパクトシティモデル事業で重要な役割を担っています。さらに令和2年度に策定された「下妻市公民連携まちづくり構想案(砂沼戦略)」が、国土交通省の「官民連携まちなか再生推進事業」に採択されました。今後は地域資源である砂沼の親水空間や市街地の既存ストックを活用し、スポーツをまちづくりの手段として使う「スポーツ環境デザイン」と「プレイスメイキング」により、魅力向上を図るとのことでした。
次回訪れた際には「Waiwaiドームしもつま」や市街地へ足を運びたいと思います。【2024年2月】
国内事業本部 今村 知亮


海外現地レポート〜東南アジア初の高速鉄道に乗車しました〜
2024年1月上旬のジャカルタ出張中、2023年10月に開業したインドネシア高速鉄道に乗車する機会を得ました。
ジャカルタ側の始発駅であるHalim駅は中心部から約10km東方にあり、都市鉄道(LRT)やバスでアクセスできます。荷物検査を抜けると発車30分前から改札が始まり、事前にスマホアプリで購入したチケット(QRコード)をスキャンしてホームへ。
ジャカルタ市内を出ると電車は最高時速350kmで走行します。山林や水田などの車窓を眺めながら、僅か30分で約120km離れたバンドン市の西方15kmにあるPadalarang駅に到着。改札を出てエスカレーターを降りた先には高速鉄道利用者専用の在来線列車が停まっており、約20分でバンドン市中心にあるバンドン駅に着きます。
ジャカルタ側、バンドン側ともに駅が中心部から離れていますが、それぞれフィーダー交通の接続性を高めるなど工夫が見られ、年齢や性別を問わず多くの方が利用されていました。「現在の速度:350km/h」という車内電光掲示板を背景に記念撮影する乗客など、東南アジア初の高速鉄道そのものを楽しむ現地の方々の姿が印象的でした。
最終的にはジャカルタから600km以上離れたスラバヤまで延伸する予定のインドネシア高速鉄道。インドネシアにおいて高速鉄道が人々のライフスタイルや地域間の繋がりをどのように変えるのか、今後も着目していきたいと思います。【2024年2月】
海外事業本部 伊藤 智洋


2024年1月
"GeoGuessor"を楽しむ
GeoGuessorというゲームをご存じでしょうか?筆者自身も詳細は知らないのだが、世界中のストリートビューの写真を頼りに、その場所をあてる、というゲームです。
ALMECの海外部のメンバーは世界中飛び回っているので、その出張で訪れた写真を集めるだけで、ALMEC版GeoGuessorを楽しむことができる、と、今年の海外部忘年会のゲームとなりました。
写真の中に写る人の様子から、だいたいの地域がGuessできる。南アジアかな? 中央アジアかな? その中からALMECの業務実施国を思い浮かべ、可能性のありそうな国をGuess。ネパールかバングラディシュか。キルギスかウズベキスタンか。セルビアかボスニアヘルツィゴビナか。難しかったのは、ALMECが得意としない南米地域。エクアドルに行った社員がいたとは。
今年は、国内の地方を対象とした調査も実施しており、日本国内の写真も出題され、都道府県単位までGuess。こちらが一番難解で、写真提供者と、その航空券をアレンジした方だけが正解でした。
皆様も、ぜひ、社内や大学の研究室で楽しんでみてください。【2024年1月】
海外事業本部 金子 素子






【答え】上から
カトマンズ(ネパール)
オシ(キルギス)
渋川市(群馬県)
滝川町(北海道)
コロール(パラオ)
キト(エクアドル)