2023年3月
タイ交通管制プロジェクトでは12名のカウンターパートが来日し、本邦研修を実施しました
「モデル地域交通管制システムの構築を通じたバンコク都渋滞改善プロジェクト」(JICA)の一環として、バンコク都(Bangkok Metropolitan Administration, BMA)交通局6名、タイ国首都圏警察(Metropolitan Police Bureau, MPB)6名が来日し、本邦研修を行いました。当初は、2020年2月に実施予定でしたが、新型コロナ感染症蔓延のために中止となり、3年ぶりに実施することができました。
2月28日から3月6日までの実質8日間の中にわたり、埼玉県警をはじめ、道路管理者である横浜市や首都高速道路株式会社、交通信号や管制システムの整備やメンテナンスを担う民間企業等を訪問する共に、実際の交通管理や信号制御の視察も行いました。さらに、Probeデータの活用や、高度な技術を用いた交通管制システムに関する視察も行い、今後のバンコクへの適用可能性について議論を行いました。
最終日には、研修で学んだことを踏まえながら、バンコクにおける面的制御システムでのITSの活用、そのために必要なアクションについて、BMA、MPBそれぞれ発表を行いました。
参加した研修員からは、今回の研修を通じて日本の交通管制システムや交通管理の考え方や、高度な技術の活用についての理解が深まったこと、JETとの議論を通じて、バンコクへの適応可能性を常に議論できたことが、高く評価されました。また、バンコク都の交通管理・交通管制を改善していく上では、信号や交通施設を整備する主体であるBMAと、その運用を担うMPBの連携が不可欠ですが、今回の研修はその両者が共に課題を共有し、議論をする貴重な機会であったことが、BMA、MPB共に述べられました。【2023年4月】


2023年2月
現地レポート〜ブルネイの交通事情〜
「ASEANにおける道路交通安全対策共同調査提案事業」(国土交通省)の一環として、2023年1月、ブルネイで現地調査を行いました。ブルネイは三重県ほどの面積に約45万人が暮らす、東南アジアの小さな国です。石油・天然ガスに恵まれ、2021年の1人あたり名目GDPはUSD32,573(世界33位)と高く、国民は医療費、教育費、各種税金が免除されています。
ブルネイの人々は自動車に大きく依存した生活を送っています。2022年の100人あたり自動車台数は62.8台と多く、1人1台所有している世帯も少なくありません。ブルネイでは政府がガソリン代の一部を補助しており、飲料水よりガソリンの方が安いという声も聞かれます。世界最大の水上集落と言われるカンポン・アイールの住民の多くも、陸上の無料駐車場に自家用車を持っています。山がちな地形に都心部、商業地区、政府業務地区が分散している都市構造も、自動車利用に拍車をかけているものと思われます。
一方、まちを歩いていて道路を横断しようとすると、信号がなくても自動車が停まってくれることが良くありました。ブルネイ人の穏やかで他人を思いやる性格の現れかもしれませんが、歩行者の安全を守る文化が醸成されているのだと感じました。
本調査はASEAN各国の交通安全の優良事例や課題を共有・議論することを目的としています。具体的な取組みだけでなく、こうした習慣・文化もASEAN全体で共有し、地域全体でより安全な交通社会が構築されることに貢献できればと思います。【2023年2月】
海外事業本部 伊藤 智洋


ダッカMRT6号線プレ開業にあわせ沿線住民への家庭訪問調査を実施しました
バングラデシュの首都ダッカでは, 都市鉄道6号線が2022年末にプレ開業しました。
ダッカでは、JICAの技術協力として当社が中心となり策定した都市交通マスタープランに基づいてダッカ市内の都市鉄道の整備に取り組んでおり、今後、円借款により6号線の残り区間、1号線、5号線(北路線)が整備される予定です。この鉄道整備事業に合わせて、JICA研究所は、都市鉄道が沿線住民の社会経済に及ぼすインパクトを検証することとし、当社では、その開業前調査として家庭訪問調査を実施しており、タブレットを活用した調査手法を導入しています。
今後は、鉄道整備前と、開業後2-3年後を比較し、人々の暮らしや交通行動がどのように変わったかを数値化することで, 都市鉄道の整備効果を把握することを想定しています。将来的な都市鉄道ネットワーク整備に向けた検討に活用される予定です。【2023年2月】

